
歯とお口のケアに適した時間はいつ?
就寝中は細菌が増殖しやすく、みがき残しの歯垢(プラーク)が多いと歯周病のリスクが非常に高まります。
このことから、特に就寝前に歯垢(プラーク)を残さないことが大切になってくるのです。
- 1日の中の唾液分泌量の変化
- ※8人の被検者について行った調査結果を元にして描いた模式的カーブ Dawes,1972
お口のケアは全身のケアにつながる。こんなことを、もともとは呼吸器外科を専門とする医師である私がいうのは、ちょっと意外かも知れません。しかし、20年を超えた医師としての経験だけでなく、40代後半にさしかかった一男性としても、お口のケアの重要性は痛感しています。今回は、あまり知られていないお口と全身の意外な関係について、ポイントをまとめてみたいと思います。
■お口のケアと全身疾患
お口のケアがうまくいかないと、齲歯(いわゆる虫歯)と歯周病の原因になります。どちらも、お口の中のことのようですが、解剖学的にも口だけが独立して存在しているわけではありません。お口に限らず、全身は常に連携して存在していますから、お口も全身と密接な関わりがあるのは当然といえば当然ですね。
虫歯ができたり歯周病が進んだりすると、結果的に歯を失うことになります。歯を失ってしまうと、きちんと食べ物をかんで飲み込むことが難しくなり、食事の内容や栄養バランスが狂ってしまうことになり得ます。私の診療の中でも、お元気な高齢者は、やはり歯が残っていて食べたいものを召し上がっています。栄養を口からしっかり摂取できることは、健康長寿の大前提になるといえます。
また、歯を削ったり入れ歯になったりしてかみ合わせが変化することで体調変化が起こることも知られています。意外なようですが、腰痛や肩こり、頭痛の原因が虫歯の治療に伴うかみ合わせの変化だというケースは往々にして存在します。
口臭や歯を失うことも問題ですが、さらに重要なのが歯周病が全身に与える影響です。歯肉に慢性的な炎症があることで、糖尿病やそれに伴う動脈硬化、さらに心筋梗塞や脳梗塞につながったりすることが明らかになってきました。また、歯肉炎のような慢性炎症が体にあると、免疫の反応が起こりやすくなり、いわゆるアレルギー疾患を引き起こす可能性があることも指摘されています。
■お口のケアに大切な2つのこと
人生80年時代。やはり比較的若い時期からのお口のケア、歯のメンテナンスが大切です。私自身も研修医時代に多忙が重なって歯を悪くしました。もちろん、それ以外の影響もあったでしょうが、その時期に体調が一気に悪くなったのもあって、30代に入ったころから歯の治療をしっかりと行い、一段落ついた後は、できるだけお口のケアを意識するようにしています。私が大切だと思うのは、次の2つです。
1.定期的に歯科医師のチェックを受ける
私自身、通っている歯科医院で「痛くなってからでなく、痛くなる前にいくのが歯医者さんですよ」と言われたことがあるのですが、まさにその通り。どんな病気も早期発見・早期治療が大切ですし、予防は治療の3倍の費用対効果があります。私は、症状がなくても定期的に歯医者さんの診察とチェックを受け、必要に応じて歯垢(プラーク)の除去をしてもらっていますし、歯垢(プラーク)のつき方を参考に歯科衛生士さんが歯みがき指導をしてくれるので、毎日の歯みがきの参考にすることもできます。
2.毎日のケアを怠らず、とくに夜は丁寧に
定期的な歯医者でのメンテナンスに負けず劣らず大切なのは、やはり毎日のホームケア。美味しく食事をいただいた後、食べかすをきちんと排除し、歯垢(プラーク)が付着しないようにケアする毎日の習慣が大切です。しかも物理的な除去が大切になってきますから、ハブラシ選びはきわめて重要。いわゆる歯周ポケットの奥の食べかすや歯垢(プラーク)を効率的に除去するには、細かい振動でサポートしてくれる電動ハブラシを活用するのも良いでしょう。
タイミングとしては、毎食後もさることながら、就寝中に歯周病菌が増殖することを考えれば、お休み前にしっかりみがいておきたいところです。忙しい朝は手みがきで効率よく、比較的時間の余裕がある夜は電動ハブラシにアシストしてもらいながら丁寧に……、日常のなかに無理なく組み込める工夫も習慣化のカギ。人生を楽しんで生きるためには、やはり健康第一ですよ!

「音波振動」×「超極細毛」の優れた清掃力で、歯周ポケット(歯と歯ぐきのすき間)の奥の汚れを歯周病プラーク*ごとかき出します。
薄型コンパクトヘッドで使いやすく、振動や音が気にならない、歯周病ケアに適した電動ハブラシです。
*歯周ポケット内の歯垢(歯周病菌を含む菌の集合体)
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